第12章 赤兎編
あなたは硬直する。
もしや守護者以外にも変な男の声まで入ってきてしまったのか。
そう呆然とする中、ミザロと同時にルドガーが警戒心をあらわにし、あなたを掴んで後ずさった。
「今なんて言った……貴様……ッ」
瞬時におびただしい殺気を放ち始め、全身の呼吸を荒くしたルドガーが構える。
すると檻から黒い煙がたちこめた。
「な、なに! どうしたの!」
あなたがパニックになると、その檻はバキッバキッとゆがんだ音を立てて開かれていく。
煙が書斎机を覆い、ルドガーはあなたを抱いて後方に飛びずさった。
ミザロはいつの間にか姿を消し、眼前には別の物体が現れる。
「…………ッ!!」
皆は固まり、空気が静かに割れるような衝撃が走った。
「ははははは……びっくりしたか? あぁ……やっぱりこの姿じゃねえと、女は抱けねえよなぁ……」
そう言いながら、長い手足が煙から現れ、てっぺんは赤い髪が燃えるように揺らめいていた。
男はなぜかルドガーと同じく、茶色の角が頭から生えている。
体はもっと絞ってあるが、彼もまた野性的で筋肉質な巨体だ。
下半身は裸ではなく、ぴたっとした下着を履いていた。
そこだけ少し安心した。
「きゃ、きゃあああああっ」
だがあなたはルドガー以外の男の裸を初めて目にし、混乱から高い声で叫ぶ。
するとルドガーは、小柄なあなたをさらに自分の後ろに隠した。