第12章 赤兎編
「ちっしょうがねえな。じゃあひとつだけ教えてやるよ。俺達はな、あんたらの敵じゃない。むしろ守ろうとしてるんだ。敵対する気持ちはこれっぽちもない。だがに会うことをあいつは切望している。それしか言えねえ」
彼は突然、誠実さのにじむ台詞を発した。
あなたは一瞬で心が照らされ開けた気持ちになる。
「ほ、ほんとうですか? セロさん、信じていいんですね?」
「おう、今のは嘘じゃねえ。こんな嘘ついたら逆に俺の命がヤバい。……それに、俺も仲間になりてえからな」
セロが鼻をかいて素っ気なく言う。
あなたは思わず彼の手をぎゅっと握り、潤んだ瞳で頷いた。
「ふふふ。今の、すごく大事なことですよ。やれば出来るじゃないですか、セロさん」
「うっせえな。本当のこと言える範囲で言ったんだから、約束守れよ。とりあえず普通の部屋で生活させろ。逃げたりしねえから絶対」
彼は騎士団とあなたの無事は断言したが、自らの安全はまだ信じられていない様子だった。
こうなれば、一致団結した皆は、新たな方向へ向かっていくことになる。
「ではあなたを信じるとして、当面の目的は守護者に安全な環境で接触してもらうことですね」
「い、いいんですか師匠。私が言うのもなんですけど、そこまで騎士団が許してくれますかね? 騎士さんもあんな目に合わせたのに…」
まだ会ったことはないが、これまでの姿勢から、騎士団長も当然厳しそうな人だと想像した。
「そこは我々に任せてください。あなたの仕事はまだこれからですよ、さん」
「はい! 何をすればいいでしょうか」
「まずセロさんとお仲間の方に寮の部屋を手配してあげてください。当分は調査が済むまで騎士団領内から出ることは禁じます」
あなたは輝く瞳で師を見やる。セロも異論はないようで、同じ顔をしている。
「おっしゃああミザロ先輩、ありがとうございますッ! はぁ~っこれで俺も憧れのルラ・パルセ魔術師団に飛び級入団かぁ~! やっべえこんな幸運あんだな~最高っ!」
拳を上げて喜ぶ年上の青年魔術師は、膝からぽろっと赤い兎を落とした。