第8章 【最終章】未来の先、変わらないもの
御幸side
いつだって俺の事を考えてるの存在は
すごく嬉しかった。
けど、時々不安にもなった。
もし、別のチームで再開していたら——
もし、俺が野球を続けていなかったら——
は今みたく俺の横にいただろうか。
「プロに行かなかったら嫌いにでもなる?」
に投げかけたその言葉は、
ずっと胸の奥にしまい込んでいた本音だった。
だから——
「それはない!」
そう即答したに
いつもなら言わない本音がどんどん溢れた。
例えこの先どんな未来でも
俺はお前の傍から離れる気はない。
だからも……
俺から離れるな。
の薬指には
さっき衝動的に買ったリングが収まっていた。
——本当はただのペアリングの予定だった。
サイズなんて関係ない。
特別な意味もないただのアクセサリー。
そのはずだった。
でも——
さっきのの怯え方に
メンタルの荒れ方……。
それらを考えると今のには
言葉だけじゃどうしても足りない気がして。
気がついた時には体が動いていた。
思いのほかしっくりと馴染んだそのリングを見て
もうを手離せる自信が無くなった。
呆然とリングに目をやる。
想像より驚いているに
少し冷静に自分の言葉を思い出す。
「これって……」
「プロポーズじゃねえからな」
なにか言いかけたの言葉を先回りして塞いだ。
そしてそのまま少しだけ視線を逸らした。
「あの……あれだ!遠距離になるだろうし、虫除け的な……」
「……虫除け?」
「っくそ……」
そばにいられない期間、
少しでも近くに感じられるように。
少しでもが俺を思い出すように。
それだけの理由を口に出す事は
俺にはできなかった。
だけど……
「……分かった」
そう言ってリングを見ながら微笑んだに
俺は少しだけ勝手に安心した。
少し前まで荒れていたはずの二人の空気は
澄んだ色をしていた。