• テキストサイズ

約束の未来へ【御幸一也】長編

第8章 【最終章】未来の先、変わらないもの


御幸side

走りながらでも分かる。

握ったの手はあの時と同じように震えていた。
そして、背中越しに聞こえるのすすり泣く声。

気がつくと、
俺たちは少し離れた公園まで来ていた。

落ち着かせるためにの手を離すことなく、
ベンチへ座らせた。

そのの顔には
もう涙は流れていなかった。

「大丈夫……」
「大丈夫な訳ないでしょ!なんて無茶するの!!」

大丈夫か?
そう聞こうとした俺の言葉を遮るようには声を張り上げた。

「ドラフト申請したんでしょ!?取り消されたら……」
「ちょっとまて、俺の心配よりもお前のことだろ!」

自分のことより俺の心配をするに
少し呆れ混じりのため息が出た。

夢主side

一也に腕を引かれるがまま走った先は
静かな公園だった。

知らない男に腕を引かれた恐怖と、
一也が来てくれた安心とで流れていた涙は、
少しずつ落ち着いていった。

けれど、胸の中に残ったのは安心じゃない。

怒りだった。

大丈夫なのか。
きっとそう聞こうとした一也の言葉を遮るように、
私は溜め込んでいた思いをぶつけた。

私なんかのために……
相手に素性がバレでもしたら……

ドラフト申請なんて、
取り消されてもおかしくない。

なのに、一也は――

「俺よりもお前の心配だろ」

呆れたような声でそう言った。

一也のプロに対する思い。

チームメイトの前では絶対口にしてなかったけど、
人一倍意識してるのは分かっていた。

だからこそ
私には理解できなかった。

「……なんで」
「え?」
「なんで私なんかのために……今までの一也の努力、無駄にしないでよ……」

私がそう言うと、一也は困ったように苦笑した。

「お前がそこまで気負う必要ねぇよ。つーか、正当防衛の範囲内だろ、あんぐらい」
「でもっ……!」

もしもの事があったらどうするのか。

そう聞こうとした私は
一也のまっすぐ私を見る視線に言葉を詰まらせた。

/ 94ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp