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約束の未来へ【御幸一也】長編

第8章 【最終章】未来の先、変わらないもの


不意に沢村くんと一也のバッテリーが頭をよぎって
気がついたらそう口にしていた。

「……そうかもな」

一也も一瞬言葉に詰まった。

もう、私達は引退した。

現役時代のプレーに後悔がある訳じゃない。
まだ、引退試合だって残ってる……。

それでも、なんだか少しだけ寂しさが込み上げてきた。

けど、試合から目を離すことはなかった——。

試合が終わってからも、私達の会話は尽きなかった。

「久しぶりにプロの野球見るの、やっぱりいいね」
「だな、日頃の息抜きにもなるし」
「けど最後のリード強気だったね」
「まぁ、あのピッチャー途中からだったけど先発より調子よさそうだったからな」

私たちはさっきまでの試合の話をしながら、
近くの商店街を歩いていた。

すると、

「あ、あの!御幸選手ですか?!今年の甲子園見てました!!」

一也のファンらしき人に声をかけられた。
一瞬私達は目を合わせると、

「私、先に他のメンバーの所行ってるね」

そう言って私は一也達の視界から外れると、
少し離れた人気のないところでベンチに腰掛けた。

そして、目印になりそうな看板を一也にメールした。

送信ボタンを押し、小さく息を吐いた。

ここに他のメンバーなんていない。
ただ、あの場所から私が逃げるための口実。

甲子園出場校のキャプテンで
何より、ドラフト候補の一也。

肩書きだけ見ても、人気が出ない理由なんてない。

一也がファンに鼻の下を伸ばすような人じゃないことはわかってる。
だから、ファンと話してる所を見たくない訳じゃない。

ただ今は、彼女がいるとかそんな浮ついた話で荒波を立てたくない。

それだけだった。

一也に言ったら変な気使うなって怒られそうだけど、
私はそういう線引きも大切だと思うから……。

そんな事考えていたら、
ふたつの影が私の前で止まった。

「おっ?そこの彼女、一人?」
「へー、近くで見ると意外と可愛いじゃん」

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