第7章 【第4章】選ばなかった未来_時間
そんな会話をしている中、俯き気味の一也。
「どうかした?」
「いや、言おうか迷ってたんだけどよ」
私の言葉に重たい口を開いた一也は鳴の方へ視線を向けた。
「鳴、お前チェンジアップの時、癖あるだろ」
一也の言葉に私は胸を撫で下ろした。
「良かった、一也も気付いてたんだ」
「俺もって……お前気付いてたのかよ」
私の言葉に驚く一也。
鳴は少し呆れたように口を開いた。
「あーあ、言わずに持って帰ってくれたら良かったのに、二人してお人好しなんだから」
「ただのブラフだよ。もし一也と組む時があった時のためのね」
鳴のその言葉に一瞬言葉をなくした一也。
一瞬の沈黙のあと
「お前、それ……」
「あー!もう言わないで!にも怒られたから!!」
少し説教じみた声で話し始めた一也の言葉を鳴はすぐに遮った。
やっぱり、怒りたくもなるよね。
時期が悪すぎる。
鳴に向いていた一也の視線が私に向いた。
「いつ?」
短く聞いた一也。
「違和感を持ったのは八回、確信したのは監督の反応かな」
私がそう言った瞬間、
鳴の顔色が変わった。
「えっ!監督に話したの!?」
私の言葉に一也よりも鳴の方が驚いていた
「なんかダメだった?」
「ダメっていうか……」
少し歯切れの悪い鳴。
その姿に話を静かに聞いていたはずのカルロスくんがふいに吹き出した。
「はっはっはー!最高すぎるわ!」
「笑い事じゃないよ!」
次の瞬間、
山岡くんが理由を話してくれた。
「監督に相談なしでやったことだからな、このブラフ」
「下手したら数試合出してもらえないかもな」
山岡くんの言葉に加えるように話した白河くん。
その言葉に少し頭を抱える鳴。
その姿を横目に白河くんは言葉をつづけた。
「つーか、三イニングで気付くとか、怖すぎ。普通に引くわ」
相変わらずの物言いだった。
しかし、
「その力うちに欲しかったな」
「でしょー?」
カルロスくんの言葉に
頭を抱えていたはずの鳴も軽く乗っかっる。
「俺はヤダ。敵でも味方でも怖い」
「やらねぇよ。お前らには特にな」
白河くんの言葉に一也も乗っかった。
珍しく一也と白河くんの利害が一致した。