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約束の未来へ【御幸一也】長編

第7章 【第4章】選ばなかった未来_時間


その瞬間、
降りる駅のアナウンスが鳴った。

「じゃあ、ここで」

私がドアの方へ向かおうと席を立つと

「!」

ふいに鳴から呼ばれた名前に足を止める。

すると、鳴は少しだけかがむと私にしか聞こえない声で話した。

「去年の話、まだ生きてるから」

それだけ言うと鳴は姿勢を直して
少しだけ私に笑顔を見せた。

その笑顔はどこか寂しさを含んでいるような
そんな気がした。

でも、

私にできることは——

「うん、ありがとう」

万全な状態で試合を迎えること。

ただそれだけ。

私も笑顔で返した。

「また、試合で」

そう言うと電車のドアが開き私は一也と足を進めた。

改札を出ると、私たちはいつも通り手を繋いだ。

「夏大も楽しみだね」

私がそう言うと、
一也は少しだけ笑った。

「あぁ」

短い返事。

でも、その声には迷いがなかった。

東京代表。

鳴との再会に、他校の選手達との交流。

色んな未来があった。
色んな可能性があった。

それでも――

私が今歩いているのはこの道だ。
隣を歩く一也と。

引退まであと三ヶ月。

私たちの最後の夏が、
始まろうとしていた。

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