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約束の未来へ【御幸一也】長編

第7章 【第4章】選ばなかった未来_時間


御幸side

……憎ったらしいほど鋭いピッチング。

ベンチから見れるだけでも良い情報収集にはなる。
けど、欲を言えば——

そんな俺の気持ちは
思いがけない形で叶うこととなる。

——ガン。

その音にベンチが一瞬だけ静止した。

空振りしたはずのバットから、あり得ない音が響いた。

その瞬間、キャッチャーズボックスにいた乾が頭を抱え倒れ込んだ。

「タイム!」

国友監督はすぐに審判へ声をかける。

幸い乾の意識はすぐに戻ったが、そのままベンチへ下がった。

「成宮の球に合わせるために自分がボックスから少し前に出過ぎていました」

そう言った乾の顔を見る。

出血はなさそうだった。

しかし頭部への影響も考慮され、交代が告げられる。
少し静まり返ったベンチに、俺は息を呑んだ。

「……御幸、いけるか」

渋い顔で国友監督が言う。

俺はマウンドで足元を慣らしている鳴を見た。

練習では同地区という理由で一度も組んでない。

けど——

「はい」

運命のイタズラだろうが、なんだろうが。

俺には関係ねぇ。
このチャンスは、俺のものだ。

俺はすぐにマスクを被った。


夢主side

ベンチからマウンドへ向かった一也。
その背中を見ながらも、頭の中ではずっとモヤモヤしていた。

鳴の球に合わせるために前に出過ぎた。

乾くんのその言葉が少し引っかかっていた。

前に出ないと取れない球。
代表としてはフォークボール。

けれど、

いくら鳴のフォークのキレが良いとはいえ、
カウント的にも、まだフォークを使わなくていい場面だった。

ふと、準備投球をしていた鳴と一也が目に入った。

一也が座って構える。

その瞬間、
一瞬だけ鳴の手首が上がる。

私はハッとして、急いで昨日の練習試合のスコアブックを開いた。

「……やっぱり」

小さく声が漏れた。

乾くんは堅実派のキャッチャーだ。
フォークを要求したから前に出たんじゃない。

あの時、乾くんが鳴に投げさせたのは……

——パシッ

マウンドから響いた快音に目線を上げた。

「……チェンジアップ」

一段と深く沈む球に、思わず息を呑んだ。

昨日までとは落差が違う。

想定よりも沈み込む球に
乾くんは前に出るしかなかったんだ。

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