第2章 【第1章】進まない秒針
御幸side
俺がを呼ぶと、
奥村の肩が大きく反応した。
……おもろ
純粋に知り合いなだけだと思っていた。
あの言葉を聞くまでは――。
「どうしたの……って、もしかして、拓馬くんと光舟くん!?」
「どうも」
「……お久しぶりです」
は2人に気がつくと、そのまま歩み寄って行った。
そっぽ向いていたはずの奥村も、
気が付けばの方へ向いていた。
「久しぶり!っていうか、なんで青道に?神奈川から遠くない!?」
「いやぁ、こいつが東京行くって聞かなくて……
学校はたまたま。」
「拓、余計なこと言うな」
微笑ましい再会の会話に
懐かしすら覚えた。
「でも、ほんと良かったっすよ!さんが野球から離れてなくて……」
その言葉にの顔が少し強ばる。
俺は耳を疑った。
……が野球から離れる?
「それってどういう――」
俺が聞こうとした瞬間、
奥村が言葉を遮った。
「拓、今する話じゃないだろ。」
その言葉に
瀬戸はハッとした顔をする。
「そうだな、じゃあ基礎練戻ります!ほら、光舟も!」
「じゃあ」
足早に2人は練習に戻って行った。
聞きたいことは山ほどある。
けど今は……
「……」
去っていった2人をボーッと見ていたに声をかけた。
「お前も、そろそろ戻れ」
「……うん」
は表情を変えずにグラウンドから離れて行った。
俺はその背中を見送って、練習に戻る。
夢主side
練習後、春大に向けてのミーティングが行われた。
「……以上が稲実の新戦力になりそうなメンバーです。
また、成宮鳴の球は去年より鋭さも増してより重量感のある音になってたので、生半可な力じゃ前に打つことも困難かと。
自分からは以上です」
私はここ数日の偵察の内容を報告した。
「ありがとう。では次に……」
監督は春大までの練習試合や東京選抜の説明をする。
しかし、
私の耳には何一つ響かなかった。
……あの頃のことを引きずっていないと言えば
それは嘘だ。
頭では忘れたつもりでも、身体は覚えていた。
思い出したくもない感触を。
「……さん」