第7章 【第4章】選ばなかった未来_時間
監督は全てのノートに軽く目を通し終わると視線を上げた。
「このノートは後で全員に配る予定だ」
「成長の為に今の自分を知るのはとても貴重だからね」
そう言って監督はベンチ前にメンバーを集合させた。
東も西も関係ない。
稲実を除けば、各校から選ばれたのはたった一人。
東京を代表する選手達が、この場所に集まっていた。
御幸side
国友監督から集合の合図に空気が締まる。
「夏前の忙しい時期に招集に応じてくれた事、まず感謝する」
「今日は主に全体練習とサインプレイの確認を行う。その前に高校名と名前、自己紹介をしてもらう。まずキャプテンから」
そうして、帝東の乾の挨拶を皮切りに順番に自己紹介が行われた。
市大三高の星田。
鵜久森の梅宮。
秋川学園の楊。
敵として顔を合わせたことのあるやつもいれば、
もう二度と試合できないと思ってたやつもいる。
「最後、マネージャー」
「はい」
監督に呼ばれてが一歩前に出る。
息を飲む音が聞こえた。
「青道高校3年、です。よろしくお願いします」
の短い挨拶に少しザワついた
「青道のマネージャーを呼んだ理由はこれを読めばわかる」
そう言って監督が全員に配ったのは
それぞれの名前が入ったノートだった。
中を開くと見慣れた文字で
配球の癖やコース別の打率、
調子が悪い時のプレーなど、事細かな個人の分析が書かれていた。
「なんだこれ……」
「俺の癖まで書いてある」
「配球傾向まで?」
色んなやつが口々に言葉に出ていた。
さっきまで不機嫌そうな顔でユキを見ていた
白河も無言でページをめくっていた。
「二週間で全員分のデータをまとめてもらった」
「全員分!?」
「二週間って……まじかよ」
監督の言葉に全員驚きを隠せなかった。
白河も、カルロスも。
さっきまで半信半疑だった奴らが
もう一度ノートへ視線を落とす。
……だから言ったろ。
敵わねぇんだよ、には。