第6章 【第4章】選ばなかった未来_道
「あの時は、誰も俺を責めなかった。でも、今思うとそれが一番苦しかったかもな」
「……そっか」
ここまで静かに聞いていた宮内は、小さくそう呟くと
一瞬息を飲んだあと、
静まっていた空気を両断した。
夢主side
「考えすぎ。というか、メンタル弱すぎ」
気が付いたら思った事が口から零れていた。
二回目のシンカーリード。
一也はきっとデッドボール覚悟で投げさせた。
なのに、川上くんはそれが原因で塞ぎ込んだと……
「一球でも当たれば怖くなるのは分かる。けど、一也はそれ込みで乗り越える川上くんが見たかったんじゃないかな」
私のその言葉に少しだけ川上くんの目が揺れた。
「けど、今となってはその優しさが沢村くんや降谷くんの支えになってると思うよ、私はね」
そこまで言うと、さっきまで閉ざされていた川上くんの口が開いた。
「……お前、御幸と同じ事言うんだな」
「この間、御幸にも言われたよ。お前が居るから一年二人は自由に投げれてるって」
その言葉に少し驚いた。
「一也もちゃんとした事言えるんだ……」
たまにしか川上くんと組んでるのを見ないからか、
捕手としては、いたずらっ子みたいな一也を見ることの方が多かった。
でも、腐っても正捕手。
ちゃんと投手に合わせた発言になるか。
とすぐに腑に落ちた。
「多分、俺に対してだけね、降谷にも沢村にも煽ってるところしか見た事ないし」
私が一瞬固まった事に川上くんも少し同様して言葉が増える。
その姿に少し笑みがこぼれた。
「川上くんもちゃんと分かってるじゃん。一也が川上くんをちゃんと見てるって」
私がそう言うと、俯き気味だったはずの川上くんの顔は、いつの間にか前を向いていた。
「あとは、川上くんの気持ちの持ちよう次第で投げれるよ。シンカー」
……これは予測じゃない。事実だ。
元々、投げれてた球なら何も心配要らない。