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約束の未来へ【御幸一也】長編

第5章 【第4章】選ばなかった未来_景色


奥村side

「お疲れ様、良いリードするようになったね!」

その言葉に少しだけ胸が熱くなる。

……ずっと、言われたかった
ずっと、待っていた言葉だった。

きっと、この人は無自覚なんだろうけど……

欲しい時に欲しい言葉をくれる。

さんのキャッチングからもそれは分かる。

それにずっと憧れていたから。

けど、今は――

「いえ……浅田の球が良かったからです。俺は俺の仕事しただけなので……」

「バットで見せます」

そう返して、俺は打席に入る準備をする。

夢主side

四回表
一番、拓馬くんが粘って与四球。
一年生チームの始めての出塁となった。

続くバッターは打ち取られるも、
ここで光舟くんに打順が回った。

拓馬くんも足を生かして塁上からバッテリーに揺さぶりをかける。
光舟くんもフェイクスクイズを入れ、球数を使わせる。

……あの人の野球だ。

私の手が一瞬止まりかける。

「あの二人、大京シニアか」

落合コーチが口を開いた。

「はい。だから、このプレーができるかと」

私は一息ついて、再びペンを動かす。

「……このプレーってなんですか?」

杏奈ちゃんが不思議そうに聞く。

「シンキングベースボール。選手一人一人がその場でどう動くのがベストか、考えながらプレイする事だよ」
「大京シニアの選手の特徴と言ってもいいスタイルだ」

その説明に、まだ少しキョトンとしている杏奈ちゃん。

「本来の野球も選手一人一人考えてプレイするのは変わらないんだけど、基本的には監督の指示の上での現場判断のみ。でも、大京シニアの野球はもう一歩深い思考を求められる」

「例えば……」

そう言って私はグラウンドを指さした。

そこには、さっき初球で盗塁した拓馬くんの足を警戒した前進守備の外野。

「外野が少し前進守備の時、バッテリーは長打を打たれたくないから、低めにボールを集めがちになる……けどそれは」

ピッチャーの力みが入ってワンバンする。
それを見逃さない拓馬くんは三塁に迷わず走る。
崩れた捕球体勢からキャッチャーは投げられなかった。

「ワイルドピッチを誘う事もある。それを見逃さない目と判断力が独特なの」
「……すごい」

杏奈ちゃんは終始驚きを隠せていなかった。



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