第5章 【第4章】選ばなかった未来_景色
御幸side
を家まで送る時、
初めは、それとなく沢村のことを聞いた。
「あいつ、考えるようになったな」
「そうだね」
短く返す。
しかし、それ以上は何も言わない。
それなら――
「俺は沢村に何を言われるわけ?」
「んー、内緒」
考えたふりだけして、やっぱり何も言わないユキ。
「でも……」
「一也にしか答えることが出来ないこと」
そこまでが答えた頃にはもう、の家の目の前に着いていた。
少しのモヤモヤを抱えたまま寮へ戻ると、
部屋にはもう沢村が待っていた。
……逃げらんねぇか。
今日の試合の愚痴でも言われると思って身構えていた。
しかし――
そんな俺の期待を良い意味で裏切られた。
「御幸先輩のリードを分かるようになりたい」
その言葉に一瞬目を丸くした。
「御幸先輩が次どの球欲しいか、それが分かるようになれば、御幸先輩の負担も少し減るんじゃないかと思って」
「聞くことが負担になると思って最初宮内先輩に聞いたら、御幸先輩に直接聞けって……」
「なるほどな」
俺は小さく苦笑を零す。
「お前、そもそも配球とリードの違い分かるか?」
キョトンとした顔で首を傾げる沢村。
「じゃあまずそこからだな……」
そうして俺は説明を始めた。
その日を皮切りに沢村が色んなやつを連れてきては
配球の組み立てや実際の打者を想定したリードのシミュレーションをするようになった。
奥村side
夜な夜な部屋にいろんな人が来る。
御幸先輩の試合中の脳内を説明されてるような感じだった。
話を聞けば聞くほど実力の差が身に染みる。
けれど――
奪えるものは奪う。
自分の机の影に隠れながら今日も御幸塾の話を聞いていた。
「奥村もこっちで一緒に話聞こうよ」
不意に由井から声をかけられた。
「いや、いい。俺はここで」
「そう?」
由井が引き下がるのと同時に御幸先輩も口を開いた。
「由井、いいよ。そいつはほっといて」
「……聞こえてる事に変わりねぇから」
御幸先輩はこっちに向けてそういった後、
再び全員に向けての説明が始まった。
……絶対、あの人を越えてやる。
その日、俺は御幸先輩から目線を逸らすことをしなかった。