第4章 【第3章】譲れない場所
夢主side
少し照れながら話す一也に
私は一瞬だけ目を丸くした。
考えるように視線を落とした。
鳴に不意にキスされた時は
ショックが重なって寝込んでしまった。
でも、
一也がお見舞いに来てくれた時。
そして、寮で2人っきりだった時――
想いは確認したけど、付き合う前のこと。
そういう雰囲気になる事はあった。
一也なりのケジメだったのか、
絶対、手を出す事はなかった。
だからかな――
「一也なら大丈夫だと思った」
私から、欲しいと思えた。
御幸side
その言葉に胸が熱くなる。
嬉しいはずなのに、
どうしても手放しでは喜べなかった。
……俺なんかのために無理してねぇよな。
俺は握ったままの手に少しだけ力を込めた。
「……前も言ったけどよ」
が小さく顔を上げる。
「俺らのペースで進めよう」
俺の言葉に、
の目がゆっくり揺れる。
「だから……無理はすんな」
夢主side
「うん……」
私は小さく頷く。
一也の少しぶっきらぼうな言い方に
安心すら覚える。
……話してよかった。
少しだけ肩の荷がおりた。
そんな気がした。
私達は目を合わせると
ゆっくりと再び歩き出した。
傾きかけた太陽がまだ少し明るい。
さっきまでは少し冷たく感じていた空気も
どこか暖かくなった。
そんな気がした。
気がつくともう家の前に着いていた。
「……ありがとう、一也」
御幸side
いつも言われてるはずの言葉。
でも、今日はいつもより少しだけ
重みを感じた。
「おう、また明日」
そう言って、家の中に入るを見届けて
来た道を戻る。
「はぁぁ……」
軽く頭を掻きながら
長く大きなため息をつく。
「……だから、俺……待ては苦手なんだよな」
誰に言うでもない小さな声で呟いた。
少しだけ吹いた冷たい風に
ゆっくりと頭の中が整理される。
しかし、
……悩み事は尽きない。
自分から聞くことを望まずともそれは耳に入る。
寮の自分の部屋戻ると、
うるさい奴が居座っていた。