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約束の未来へ【御幸一也】長編

第3章 【第2章】受け止めるということ


「おかえりー、どうだった?」

家に帰るとお母さんがいつも通りに話しかけてきた。

その瞬間、
張り詰めていたものが一気に流れた。

私の様子にただ事じゃないと察したお母さんは、
料理の手を止めて駆け寄ってきた。

そして、無言で抱きしめてくれた。

「今は話さなくていいから、まずは落ち着いて」
「話せるようになったら教えて。あなたの言葉を信じるから」

私は泣きながら頷く。
何回も。何回も。

その夜、お父さんが帰ってきてから
今日の事だけ話した。

「本当に今日だけなのか?」
「今までにもそういう兆候なかったの?」

2人からそう聞かれたけど、
私は断固として口を開かなかった。

……全て話すと私の過去も否定されてしまう。
そんな気持ちだったから。

その後すぐ、私はチームを抜けた。

表向きは受験勉強に専念するため。

自分から野球から逃げる決意をした。

辞めてからも光舟くんからメールが届いた。
【急に辞めるなんてらしくないです。何かあったんですか】
【今度、練習試合があるのでお時間あれば見に来てください】
【返事はいりません。ただまた練習顔出して貰えませんか】

定期的に来てたそのメールに
何度も返事をしようとした。

でも、

……指が動かない

光舟くんは悪くないのに……

私の身体は明確に拒絶をしていた。

気が付けば、
野球に触れないまま一年以上が過ぎていた。

そんなある日――

珍しく光舟くんから着信があった。

その着信からは
いつものメールとは違う、
切羽詰まった物を感じた。

気がつくと私は通話ボタンを押していた。


奥村side

あの人が辞めてから、監督の機嫌が露骨に悪くなった。

今までも違和感のある発言はあった。

でも、監督として信じていた。

なのに――

一年後、急に監督は俺らのチームから離れた。

噂が沢山上がった。

「お金を積まれたから」
「父母会の人と不倫してたのがバレて居づらくなったから」

真偽の分からないものが多かったが、
汚い大人の事情に巻き込まれていたと思うと吐き気がする。

でも、聞き流せない噂が一つだけあった。

「さんにセクハラして訴えられそうだったから」

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