第3章 【第2章】受け止めるということ
私は真剣な眼差しで光舟くんを見た。
「キャッチャーってね、ピッチャーが気持ちよく投げれるようにするのが仕事」
光舟くんは
……そんなの分かりきってる
そんな顔をしていた。
しかし――
「ピッチャーが投げてくるのはただの球じゃない。
一球一球ちゃんと意志が乗ってる生きた球」
「その気持ちごと受け止めてこそ本物のキャッチャーなの」
その言葉に光舟くんは目を丸くした。
「わかりました」
その日はそれだけ言って帰っていった。
すごく理論的に考える子だから、
感覚的なところを理解するのには時間かかるだろうな……
覚悟はしていた。
しかし――
――パシュッ。
……え。もう良くなってる
そのキャッチングは昨日とは雲泥の差。
音からも柔らかさが分かるくらいだった。
「……どうですか?」
「すごい!すごい良くなってる!」
私は自分の事のように嬉しかった。
教えるようになってから、
ここまで成長の早い子にあったのは初めてだったから。
それからも光舟くんに細かい指導を続けた。
コース別のフレーミングや、バッターの性格を考えた上での配球の組み立て。
何を教えてもスポンジのように吸収する光舟くんに
私は指導者としての道もアリだなと思い始めた。
そんな頃だった――。
「、ちょっと」
監督がことある事に呼ぶ。
そして、
「こっち座れ」
そう促されるのは毎回、監督の隣の席。
元々フレンドリーで距離の近い人だとは思っていた。
しかし、
「なぁ、あいつどう思う」
促された通りに座ると私の肩を組み話を続ける。
近すぎる距離に少し身体が強ばる。
……きっと私の考えすぎ
「最近、スイングがブレてきてますね。もしかしたら悩み事でもあるんですかね」
「ちょっと話聞いてきますね」
私は監督の腕から抜けてグラウンドへ向かった。
「……ッチ」
その裏で監督が舌打ちをしてこちらを睨んでたのは、
あとから聞いた話。