第8章 8
ポアロから帰った日、少し前を向けたと思った私。
だから私は押し入れにしまい込んでいたものを出すことにした。
それは爆発物処理班に所属している時に愛用していた道具たちだ。
道具の箱を開けると一気に金属の匂いがした。
何年か前までは毎日のように開けていた箱。
あの当時は匂いも慣れてしまっていたから分からなかったな…。
その一つ一つに愛着がある。
………すっかりしまい込んでたね。ごめんね。
私は少し泣きそうになりながら道具を手に取った。
この子達とたくさんの爆弾を処理した。
でもじんぺーくんが亡くなった後、爆弾の処理中動けなくなった。
大切な道具たち。
でもこの子たちを見るとどうしても思い出して苦しくて…。
警察までやめて貴方たちを押し入れにしまい込んでしまっていたね。
今、貴方たちを見ても前のような発作は起きない。
だから今更だけどまた貴方たちを手に取れて嬉しいと思う。
まだ貴方たちを使うことはたぶん出来ないと思うけど、いつか使える日まで私のそばに置かせてね。
そんな思いを込めて、一つ一つ丁寧に拭きあげた。
「…じんぺーくん、研ちゃん私少しずつ前を向けてるよ…。」
棚の上の写真を見ながら呟いた。
私は涙を拭うと拭き上げた道具たちを押し入れに戻さず写真の横に並べた。
「見ててね。私絶対克服するから。」
2人の笑顔に向かって呟いた。