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【呪術廻戦】甘味昏々

第1章 甘い受難


自分に起きていることに困惑して、ただを見つめることしかできない俺には機嫌良さそうに笑いかける。

「どうしたの?フルーツヨーグルト、食べたい?」

はフルーツヨーグルトをスプーンで掬うと、俺の口元に運んだ。
そしてイタズラっ子のような顔と声で、

「食べる?」

と訊いてくる。

「…い、らない」

ここまでは普通に拒否できるのに、

「“甘井”」

名前を呼ばれた瞬間に思考が止まる。

「“食べて”」

そして、舌に強い甘みを感じたかと思えばに言われたことをやってしまったのだと気付く。
たまたまなんかじゃない。
明確な作為を感じる。

これ、の術式?
名前呼ばれて、命令をきかされる。
え、ちょっと待って。
これ、俺に抗う手立てないんじゃ…?

たぶんテンパってるのが顔にも出てる。
その証拠には隣でこちらを眺め、クスクス笑いながらそれを肴にワッフルを食べている。
これは緊急アラートどころの騒ぎじゃない。
すぐにでも離脱ボタンを押すレベル。
俺はカツカレーを流し込むように食べると勢いよくイスから立ち上がった。
が、その途端にの声がする。

「“甘井”、もっと“一緒にいて”よ」

耳に入った瞬間に、立った時と同じくらいの勢いでイスに座ってた。

「…何がしたいんだ…?」

引きつっているのがわかるほど、自分の顔が硬い。
なのにはすごくリラックスした様子で柔らかく笑う。

「さっき言ったじゃん?おにーさんとオトモダチになりたいんだって」

その表情は死滅回游中、怯えて隠れていた少年になんて見えない。
俺は知っている。
使いっ走りとはいえ死滅回游に参加して、いろいろな泳者を嫌と言うほど見てきた。
の表情は死滅回游を自分の力で生き抜いた強者のそれだ。

「ねー、おにーさん。今日さ、午後の講習終わったらもっとおしゃべりしよーよ」

周りの目を気にしてか、また無邪気な美少年に戻っている。
ニコニコ笑って、「ね?いいよね?」と言われれば例え術式を使用していない言葉でも従わざるを得なかった。
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