• テキストサイズ

【呪術廻戦】甘味昏々

第4章 塩辛い過去


甘い物はご褒美だった。

それは子どもの頃から変わらない。
上手に出来ればもらえるし、出来なかったら鞭打たれる。
完全なる飴と鞭。
それを体現しているようなそんな家に私は生まれた。

私の家は古くから稲荷信仰をする呪術師の家系で、生まれてくる子はほとんどが何らかの術式を持っていた。
何らかの術式があれば適材適所で家の繁栄に繋がる。
家系から呪詛師を出したくないからどんなに使えない術式でも持っていれば蝶よ花よと育てる、そんな家だった。

じゃあ、術式を持っていないヤツは?
たまに生まれる術式を持たない子。
『術師にあらずんば人にあらず』
呪術界御三家によく聞かれる思想は私の家でもそうだった。
そんな子どもは男なら種、女なら畑。
ただ次に血を繋ぐだけの道具。
それしかさせてもらえない、道具。

7歳の誕生日になっても術式が開花しなかった私は、家の中で唯一人じゃなかった。

食事がもらえない訳じゃない。
布団が与えられない訳じゃない。
学校にだって行かせてもらえてた。

でも、呪術のことなんてちっとも教わることもなく、種を受け入れる道具として男を悦ばせることしかしこまれなかった。

上手に出来なければ鞭打たれた。
痛いことは嫌だけど次第に慣れた。

上手に出来ればご褒美で甘い物がもらえた。
舌でとろける甘い物で思考の停止した脳も蕩けた。
それが何とも快感で、それだけが私の快感で、ご褒美がもらえるように一生懸命頑張った子どもの頃。

初潮が来たあとは種を受け入れなければいけなかった。
これは本当に嫌だった。
上に伸し掛かられて逃げることすらできず、何回やっても痛かったし、怖くて怖くて仕方なかった。
でも、毎回終わればご褒美がもらえた。
初めは上手に出来ても出来なくてももらえた。
途中から最中に騒いだり抵抗するともらえなくなった。
ご褒美の為だけに最中は口を両手で押さえて耐えた。
何年経っても、いくら種を受け入れても私の中で芽吹くことはなかった。
義務教育を卒業する頃、もう子どもじゃないんだから甘い物など必要ない、甘い物なんか与えるから芽吹かないのだ、と言われた。
そして思った。

あぁ、この家ではもうご褒美はもらえないのか。
じゃあこんな家、もういる意味ないや。

私は私の方から家を捨てた。
卒業と同時に家を出て、見つからないように、連れ戻されないように姿をくらました。
/ 98ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp