第3章 苦い行為
「もう疲れたし、寝よーよ」
は背中を向けたまま言う。
「あ、はい。どーぞ、ベッド使ってください」
もう年上の美女ってだけで敬語になってしまう。
「なんでいきなり敬語だよ?甘井のベッドなんだからお前も使えよ。特別一緒に寝てやるから」
眼光の鋭さはなしでぶっきらぼうに睨む仕草で俺を見るはやっぱり可愛くて、術式なんてなくたって言うことは聞いてしまう。
俺はベッドの隅っこの方に横になった。
「そんな端っこじゃ落ちるだろ。もっとこっちに来ればいいじゃん」
そう言って俺の服の裾を引いてくる。
もうとの今日一日がハチャメチャ過ぎて、普通のこと言われるだけで、されるだけで、もう可愛い。
本当に勘弁してほしい。
俺は黙って少しだけの方に寄った。
まだ空いていた隙間はの方から埋められた。
肩が触れ合うくらい近くで一緒に天井を見上げてる。
なんだか、すごく静かだ。
「なぁ、なんであんな動画撮ったんだ?」
沈黙が壊れないように静かに訊いてみた。
「そんなの甘井を脅して言うこときかせるために決まってんじゃん」
もすごく物騒なことを静かに言った。
「そんなことしなくたっての術式使えば言うこときかせられるだろ」
「ダメだよ。アタシの術式は一つ一つの行動ごとにしかかけられない。一日中とかたくさんの行動が絡むことには使えない」
「何、言うこときかせるつもりだった?」
「…講習期間中、アタシの連れでいろって」
「なんだそれ」
そんなことのためにあんな動画まで撮るのか?
「今日見ててわかるだろ?いろいろ寄ってきてウザいんだよ。アタシに寄ってくるのなんてみんな悪いヤツなんだから。みんなにニコニコするのダルいんだよ。いちいち腹の探り合いされんのもヤダ。だったら甘井みたいな無害そうなの一人相手にしてた方がラクだろ」
あ、あの美少年キャラって結構疲れるんだ?
そういう天性の才能なのかと思ってた。
「そんなの普通に頼めばいいだろ」
「普通に頼んで、普通にいいヤツの甘井は言うこときくか?逃げるだろ?」
うん、たぶん逃げる。
「だからあぁやって言うこときかせるのが手っ取り早いだろ」
なんか、のことは全然知らないけど、そういうのが当たり前の環境にいたんだろうな。