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彼女はボクに発情しない

第25章 波乱の奇想曲


☆☆☆
響は、とは7つ離れた実の兄だ。たしか、今年で24歳のはずだ。に輪をかけて更に頭がよく、20歳で渡英し、22でイギリスの医師資格を取得した。通常6年かかるコースを2年で終了したということで異例中の異例だそうだ。

現在は、医師としてまた、研究者としてイギリスの名門大学で研究員として活動している。イギリス政府から多額の研究費を得ており、何やら医学研究をしているらしい。

頭もよく、運動もほぼ万能。最も得意なのはテニスで、嘘か本当かわからないが、ウィンブルドンの出場権もものにしたことがあるらしい。ただプロテニスプレーヤーになるわけではないので、やめてしまったらしいが。
ついでに顔もいい。足も長くスタイルも抜群だ。どういう遺伝的要素か、髪の毛が若干栗毛色で、それも異国情緒があるようで、甘いマスクとともに女子にモテモテだった。

全てにおいて、気に入らない。

そんなパーフェクトヒューマンな響なのだが、唯一にして最悪の欠点を持っている。
あいつは、重度かつ不治のシスコンなのだ。

7つも離れた可愛い妹だから、可愛がるのは当然だとしても、あの溺愛ぶりは異常だ。が小学2年生のとき、ふざけてを後ろから押して転ばせたクラスメートを半殺しにしようと八つ墓村みたいな装束で学校に乗り込んできたことは今でも忘れない。

先生たちが必死に止めなければ、死傷者が出ても不思議じゃなかった。
もちろん、のPIHのことも知っている。が小4でPIHを発症した時、一番気が狂ったようになったのは響だった。一時期はナイフを隠し持っての周囲を警護していたくらいだ。この時、響は17歳。職質を受ければ立派に鑑別所行きになってしまう年齢だ。

もちろん、ボクが性処理をしていることがわかったときの爆発ぶりはとんでもないことだった。金属バットを振り回し、追いかけられた回数は片手では足りない。高校生である響が小学生のボクに向かってフルスイングした金属バットが耳元をかすめた恐怖は未だに忘れることができない。ボクの足が早いのは、を助けるためが半分だが、もう半分は、響に追いかけ回されて命からがら逃げ惑ったことにも由来すると固く信じている。
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