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彼女はボクに発情しない

第22章 陽気な家族のための小舞曲


そうなのか・・・。だから公園にいるのか。

「お水飲まなくていい?」
よいしょっと、陽太が私をベンチに座らせてくれる。
はい、どうぞと、近くの自販機で買った水をくれた。飲むと少し体の熱が引き、ふわんとした気持ちが落ち着いていく。

「具合、どう?」
具合は悪くない。むしろ、ふわふわしてて気持ちいい。なんか無性に陽太に甘えたくなってしまう。隣りに座っている陽太の肩に頭を乗せる。

「か・・・?」
もぞりと陽太動く。あ、ダメ!
「落ちちゃう・・・。動かないの!」
言うと、ピタリと陽太は動きを止める。そう、それでいいのよ」
私は満足した。こうして頭をくっつけていると気持ちよさが格別だ。

夏真っ盛りで暑いけど、夜の公園は少し風もあって、ちょうどよい感じだ。虫の声がそこここから聞こえる。

「陽太・・・ありがろうね。ヘビ、追っ払ってくえて」
あのとき、ちゃんとお礼を言っていなかった気がする。思い出したので、今言おう。
「憶えていたの?」
もちろんだ。陽太はいつも助けてくれる。
「憶えれるよー。みーんな、陽太にしてもらっらこと、みーんな憶えていろ」
「もっと、かっこよく助けたかったんだけどな・・・。いつも、ダメだな、ボクは」
陽太は、カッコ悪いけど、カッコいいよ・・・。
「らい好き・・・」
え?・・・という陽太の声が聞こえた気がしたけど、気のせいかな?

そうだ、聞きたかったこと、今、聞こう。さっきは風香ちゃんいて聞けなかったし。
「あのさ・・・陽太・・・わらし、発情するれしょ?」
「え?あ・・うん・・・」
「陽太、来れくれるれしょ?それで、イカせてくれるれしょ?」
「う・・・うん・・・」
「れね・・・、わらしね・・・わらしはね?そえは、気持ちいくて、いいんらけろ・・・、陽太は・・・陽太は・・・発情した、わたしは・・・いや?・・・きあい?」
「き・・・嫌いじゃないよ」
「そ・・・」
良かった、陽太、嫌いじゃないって。私のこと・・・嫌いじゃないって・・・。
胸がいっぱいで、涙が出てきた。次々出てきて、とうとう、寄りかかっている陽太の服にまでぼたぼたと落ちてしまう。

「良かった・・・よかっらよ・・・」

安心したら眠たくなった。
そっと、頭に温かい手が乗った気がした。小さい頃、お父さんに頭を撫でてもらったことを思い出していた。
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