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彼女はボクに発情しない

第21章 愛しき夏の日々の舞曲


☆☆☆
「すごーい!」

宝石のようにキラキラしたフルーツタルトを目の前に私は思わず感嘆の声をあげる。
お店の前を通ったとき、『美味しそう』と思ってチェックしておいてよかった。

このお店、カフェ・カンパネラは常時20種類以上のフルーツタルトを用意しているタルトの専門店だ。テイクアウトもできるし、狭いながらも中の喫茶スペースでイートインもできる。

ま・・・迷っちゃう。
たくさん並ぶタルトたちを前に私は目移りしまくってしまう。

「ね、陽太は?陽太はどれがいいの?」
あれ?・・・なんか私、すっごくウキウキした声出してない?『発情してボクを呼び出したくせに浮かれやがって』とか、思われたりしないかしら?

ちらっと陽太の様子をうかがうが、彼も真剣な表情でディスプレイされたタルトを見ているようだ。心のなかでほっと胸をなでおろす。

結局、私は季節のタルトということでマスカットをメインにしたタルトを、陽太はこのお店の定番商品であるいちごのタルトを選んだ。ああ!それ!そっちと迷ったのよ、私も!!

「よ・・・陽太にはいつも迷惑ばっかかけているから、タルトはわ・・・私のおごりで、ね?」
言うと、陽太は少し考える素振りを見せて、「じゃあ、飲み物はボクが払うよ」と言う。なんか、こういうことが自然と言えちゃうあたり、ちょっと男前なんだよなー。

陽太に気を遣わせないように、私は飲み物はアイスティーを選んだ。一番スタンダードだし、そもそもタルトによく合う。陽太も同じものを頼んだ。

早速席について、食べ始める。
緑の宝石のような大粒のマスカットを贅沢に使ったタルト、フォークをいれ、少しだけ大きめに切り、口に運ぶ。
じゅわっとフレッシュなマスカットの香りが口いっぱいに広がり、タルト生地もサクサクと良い歯ごたえだ。甘みと酸味が絶妙でものすごく美味しい。

陽太もいちごのタルトを美味しそうに食べている。
「も、いちご食べる?」
え?私、そんな物欲しそうな顔してました?
で・・・でもせっかくなので・・・、と陽太が切り分けたタルトを一口いただく。
こちらも定番なだけあって美味しい。やっぱりいちごは最高だ。
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