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彼女はボクに発情しない

第17章 恋敵協奏曲


☆☆☆
「待って!笹本さん!」

走っていく笹本さんを追いかける。ああ!意外と足が速い。待って待って!
「お願い!待って!話を聞いて!」

駅の近くの公園の前でやっと止まってくれた。
「さん・・・」
彼女も肩で息をしている。真夏なので、ブワッと汗が滲んできてしまう。
「とにかく・・・日陰にいきましょう」

公園の木陰のベンチで並んで座る。互いに息が整うまでちょっと時間がかかった。
「笹本さん、あのね・・・」

私は彼女を追いかけるに当たって一つ、決意してきたことがあった。
「私は、陽太が好き」
「そう・・・ですか・・・」
ガックリと肩を落とす。
「違うの、それを言いたかったわけじゃなくて。えっと、好きだけど、まだ彼には言えていないの。だから、お付き合いとかできてないの」
「それって、どういう・・・だって・・・あの夜・・・」

私は息を大きく吸う。心を落ち着けなくちゃ。
そして、覚悟を決めた。

「私・・・病気なの。PIHっていうの。」
「病気?」
「うん・・・男の人に接触したり、近寄ると、いつもじゃないのだけど、すごく性欲が強くなってしまうの。それで、その状態を解除するための方法が・・・」

うう・・・言いにくい・・・。

「方法が・・・その・・・誰かにイカせてもらう・・・しかないの」
笹本さんの目が大きく見開かれる。顔に朱が差しているところをみると、あの夜見たことを思い出しているのかもしれない。

「その役を、ずっと、陽太にやってもらっていた・・・。笹本さんがあの夜見たのは、そういうことだったの」

ついに、言ってしまった。家族と陽太以外に知られることがなかった私の秘密。
でも・・・それでも・・・。

「な・・・んで?私に?」
なんでだろう?黙っていれば勝手に勘違いしただろうに、なんで言うつもりになったのだろう。自分でもはっきりはわからない。わからないけど。

「笹本さんも、陽太が好きなんでしょ?私も好き。大好き。だからかな。嘘つきたくなかった。もし、黙っていたら、私、後悔しそうだって思った。」
「そんな・・・。」
「私達、条件同じなの。私、陽太の気持ち聞いたことないし、大体、こんな変な病気で、自信もなくて・・・。だから、笹本さん・・・優子ちゃんが羨ましかった。」
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