第42章 勉強会
「……おい。食うなら来いってあいつらが言ってんぞ」
低く、不機嫌そうな声が部屋に響いた。
振り返ると、そこには爆豪が立っていた。
眉間には深い皺。
相変わらずの仏頂面だが、どうやらキッチンの騒ぎはようやく収まったらしい。
「おっ!マジで!?休憩!?」
上鳴がぱっと顔を輝かせる。
さっきまで問題集と睨み合っていたとは思えないほどの変わり身だった。
「ふふ、よかった。ちゃんと食べられるものになったんだ?」
ユカリもほっとしたように胸を撫で下ろし、立ち上がる。
「上鳴くん、先に行ってていいよ。私は片付けてから行くから」
「はいッ!行ってきます!」
上鳴は元気よく返事をすると、待ちきれないとばかりに部屋を飛び出していった。
「爆豪くん、ありがとう」
「……別に」
素っ気なく返した爆豪だったが、その視線は一瞬だけユカリへ向けられる。
「?」
ユカリが不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの?」
爆豪は答えない。
ただ、上鳴が去った扉を一度確認すると、小さく舌打ちした。
「……チッ」
そして、ゆっくりと部屋の中へ戻ってくる。
「爆豪くん?行かないの?」
ユカリがもう一度呼びかける。
けれど、爆豪は何も言わない。
そのままユカリの前まで歩いてくると――勢いよく腰を引き寄せて力強くその身体を抱きしめた。
「っ………」
ふわりと身体が浮くほどの力で密着させられ、ユカリの胸が高鳴る。
包み込まれる高い体温と、かすかに香る甘い焦げた匂い。