第41章 号外
そんな実況中継が繰り広げられているとは露知らず、ユカリたちのテーブルにはひとつの影が差していた。
「やあやあA組諸君!相変わらず話題という名の問題を提供をするのが好きだねぇ、君たちは!!」
ねっとりとした煽り顔を引っさげ、物間が号外をひらひらとさせながらやってきた。
「あァ!?」
「だがしかし!ユカリ先輩!僕は先輩のことは素直にお祝いさせてもらうよ!」
「あ、ありがとう……?」
突然の乱入と、妙に爽やかなお祝いの言葉にユカリは首をかしげる。
「まあね!下手に周りの男どもで取り合って無駄に殺伐とされるくらいなら、誰か一人の元に収まってくれた方がこちらとしても学校生活が安定して穏やかというものさ!その点、爆豪くんはガードマン……いや、SPとしては申し分ない適任じゃないか!!」
「誰がSPじゃ彼氏だわクソが!!!!」
「SP」扱いされた爆豪がついにブチギレて怒鳴り声を飛ばす。
すると周囲の爆豪派テーブルから「言った!!」「公式で自称した!!」と歓喜の悲鳴が上がった。
向かい側では出久が「あああ……」と両手で顔を覆っている。
だが、物間はどこ吹く風でニヤニヤと不敵な笑みを深めた。
「いやぁ見ものだねぇ!その関係が一体いつまで続くことやら!まあせいぜい頑張りたまえよ!その束の間の幸せってやつを―――痛ぁぁぁい!?」
「また余計なこと言ってんじゃないよ!」
突如として繰り出された手刀が物間の首筋にクリーンヒットする。
もはや、おなじみの光景である。
「本当にすみませんユカリ先輩。うちの物間が毎度毎度……」
頭を押さえて悶絶する物間の襟首を掴むと、拳藤が申し訳なさそうにペコリと頭を下げた。
「ううん。またね、物間くん、拳藤さん」
舌打ちする爆豪の隣で、ユカリが笑う。
そのままズルズルと引きずられて回収されていく物間を見送りながら、環と出久は「通常運転だな……」と呆れたように息を吐くのだった。