第41章 号外
澄み渡る空の下、出久は寮を出て校舎へと向かって歩いていた。
だが、昇降口付近に差し掛かると、いつもと様子が違うことに気付く。
早朝にもかかわらず、どこか尋常じゃない熱気に包まれているのだ。
「ねえ、これまじ!?」
「大ニュースじゃん!!」
生徒たちが幾重にも人集りを作り、あちこちで大騒ぎしていた。
(なんだろう……何か行事の発表でもあったのかな……?)
不思議に思いながら首を傾げたその時、ひらりと風が吹き抜ける。
生徒の手から離れたらしい一枚の紙がくるくると舞い、出久の足元へぽたりと落ちた。
「っと……」
屈んで何気なく拾い上げる。
そこに踊るデカデカとした太字の見出しを目にして、ピタリと足を止めた。
『新聞部号外――!!』
『圧倒的人気を誇る3年A組ヒーロー科・ユカリ先輩を射止めた者がついに現る―――!?』
「え……!?」
思わず素の声が漏れた。
ユカリ先輩といえば、圧倒的な実力と優しさで校内にファンも多い憧れの存在だ。
そして何より、爆豪と轟の二人が同時に彼女へ強い想いを寄せていることは、いまや校内周知の事実だった。
誰もが「一体どちらを選ぶのか」、あるいは「このまま誰も選ばないのか」と固唾を飲んで見守っていた一大関心事である。
まさか彼女が答えを出す日が、こんなにも早く来るなんて―――
「い、いつの間にこんなことに……!?」
目を丸くする出久。
いつもの癖で高速のブツブツ音声を炸裂させながら、貪るように紙面へ視線を走らせる。
そして、そこに書かれていた『選ばれたお相手』の決定的な名前を目にした瞬間――
出久の顔面が固まった。
【その衝撃のお相手は――1年A組ヒーロー科・爆豪勝己!!】
「ええええええっっっ!?!?!?」
早朝の校舎前に、出久の裂けんばかりの大絶叫がこだました。
か、かっちゃん!?
ユカリ先輩が選んだ相手がかっちゃんだって―――!?
「……と、とりあえず話を聞かないと!!」
パニックで頭を真っ白にしながら、出久は号外を握りしめて教室へと走り出した。