第40章 告白
(言っていいのかな……?)
突然のストレートな質問に、ユカリが困惑気味に爆豪へチラリと視線を送った。
爆豪は心底ウザそうに盛大に舌打ちをかますと、照れ隠しを隠す気もない雑さで吐き捨てた。
「………見りゃ分かんだろうが」
「マジでーーーーッ!?」
鼓膜をぶち破らんばかりの切島の叫びが、訓練場の天井まで突き抜けた。
その瞬間、ユカリの胸の奥がギュッと甘く跳ねた。
(……あ、ちゃんと『彼女』なんだ……)
放課後、ここへ来る途中に一人でぐるぐると悩んでいた疑問が、一瞬で溶けて消えていく。
「付き合おう」なんて言葉はなくても、あの爆豪が照れを隠しもせずに、二人の関係を堂々と言い切ってくれた。
その事実が、ユカリの中に「恋人になった」という実感を一気に現実のものとして染み込ませていく。
嬉しさと気恥ずかしさが同時に押し寄せてきて、胸の奥がじんわりと熱くなった。
そんなユカリの心情をよそに、切島は急に目頭を押さえ、じわっと涙を浮かべ始めていた。
「や……なんかすげぇ……」
「なんで泣いてんだテメェは」
「だってよぉ……!爆豪がずっと先輩に片思いしてんの知ってたからさ……なんかこう、マジで胸にくるもんがあるっていうか……!」
「片思いだの言っとんじゃねぇぶっ殺すぞ!」
「いやでもマジで良かったな爆豪!!」
「るせぇ声デカいんだよ死ね!!」
感極まって鼻をすする切島と、顔を真っ赤にして蹴りを入れる爆豪。
そのやり取りがおかしくて、そして何より愛おしくて、ユカリは思わずくすくすと声を漏らして笑った。
——そして。
訓練場の重い扉を突き抜けて響き渡った切島の絶叫と大騒ぎを。
たまたまを取材帰りで廊下を通りかかっていた新聞部の部員が、バッチリ聞きつけていたのだった。
(……え? いまユカリ先輩と爆豪が……付き合ってるって言ったか!?)
扉の陰で目を見開いた部員は、手にしていたノートをぎゅっと握りしめる。
(これは……特大スクープだ……! すぐ部長に知らせないと!!)
足音を殺しながら、しかし興奮を抑えきれない様子で廊下を駆け出していく影。
明日、雄英校内を揺るがす大騒ぎになることを、この時の三人はまだ知る由もなかった。