第40章 告白
朝の陽射しが、雄英高校の校門を照らしていた。
一台の送迎車が静かに校門前へ滑り込み、ゆっくりと停車する。
車のドアが開くと、校門の脇で気だるそうに待っていた相澤が歩み寄ってきた。
「……終わったか」
「ただいま戻りました、相澤先生。これ、最終の報告書です」
ユカリは丁寧に書類を差し出す。
相澤はそれを受け取ると、パラパラと受領印や内容を一枚ずつ確認した。
「ご苦労。怪我もないようだし、問題ねぇな。報告書は俺から出しとく」
「お願いします」
報告書を小脇に抱えた相澤は、そのままユカリと肩を並べ、校舎へ向かって歩き始める。
「どうだ。得られるものはあったか?」
その問いに、ユカリの脳裏へエコーと過ごした三日間の記憶が鮮やかによみがえった。
厳しい現場で何度も目にした現実。
ヒーローとして背負う責任の重さ。
そして、自分自身の成長。
「はい。すごく」
迷いのない返事だった。
まっすぐ前を見つめて答えるユカリに、相澤はほんの少しだけ口元を緩める。
「……まあ、お前ならそう言うと思った」
穏やかな空気の中、ユカリは相澤の横顔を見上げた。
「先生、昨日はよく眠れたんですね」
「……なんでだ」
「今日の先生、いつもより顔色がいいので」
その一言に、相澤は一瞬だけ足を止めそうになり、小さくため息をついた。
「……お前は俺の親みたいだな」
「ふふっ」
校舎へ向かう二人の背中は、どこかいつもより柔らかな空気に包まれていた。