第39章 Team Up Mission
朝のやわらかな陽射しが、雄英高校の壮大な校舎を黄金色に染め上げる。
チームアップミッション初日。
荷物をまとめたユカリは、環、轟とともに、校門前に待機している事務所の送迎車へと向かっていた。
歩みを進める三人の背中に、担任である相澤の声が追いつく。
「今回世話になるのは、プロヒーロー『エコー』の事務所だ」
差し出された資料を受け取りながら、相澤が問いかける。
「知っているか?」
環は肩をすくめ、自信なさげに小さな首を横に振った。
「……名前、くらいしか」
轟もまた、渡された紙面に鋭い視線を落とす。
「救助専門……ですか」
「ああ。派手な戦闘よりも、現場での救助や事故対応、そして遺族支援を主軸に置いている」
相澤は少し表情を引き締め、真剣な声で付け加えた。
「ヒーロー社会全体で見ても珍しいタイプの活動スタイルだ。しっかり学んでこい」
三人の「はい」と澄んだ返事が、朝の静かな敷地内に響いた。
***
車に揺られること数十分。
到着したのは、賑やかな街並みの中にひっそりと佇む五階建てのビルだった。
ガラス張りのエントランスに足を踏み入れる。
華美な装飾はないものの、どこか心を落ち着かせる雰囲気が漂っていた。
自動ドアが開くと同時に、受付の女性スタッフが柔らかく頭を下げる。
「お待ちしておりました」
案内されたのは、応接室だった。
重厚な木製の扉が開いた、まさにその瞬間――
「ようこそ」
穏やかな声が響く。
そこに立っていたのは、三十代半ばほどの男性だった。
黒髪を綺麗に後ろへ流し、目元には優しげな笑みジワが刻まれている。
圧倒的な存在感や派手なオーラがあるわけではない。
けれど、ただそこに佇んでいるだけで、不思議と安心感を覚える人だった。