第38章 日曜日
日曜日の朝。
ユカリは鏡の前で軽く髪を整え、いつもより少しだけ時間をかけて服を選んでいた。
どこへ行くのかも知らない。
何をするのかも聞いていない。
覚えているのは、1週間前のレジャープールの帰り際、爆豪に投げかけられた「日曜、空けとけ」という不器用な一言だけだ。
今朝になって届いたメッセージも『午後、寮に迎えに行く』という素っ気ない短文が一件のみ。
(もう、説明が足りなさすぎるんだから……)
可笑しそうに口元をゆるめつつ部屋を出たユカリは、共有スペースである寮のリビングへと向かった。
リビングにはミリオ、ねじれ、環の姿があった。
休日ということもあり、他のA組の生徒たちは外出しているらしく、室内はいつになく静かだ。
「あ、ユカリ!おはよう!」
「おはよ〜!」
ソファに座っていたミリオとねじれが、いつも通りの明るい声で手を振る。
ユカリも「おはよう」と返してキッチンへ向かおうとした、その時だった。
「……ユカリ、今日どこか行くの?」
端の席でマグカップを持ったまま、環が横目で尋ねてきた。
「え?」
「……いつもと雰囲気違う」
幼馴染ならではのポツリとした言葉に、ユカリは思わず胸を跳ねさせる。
こういうところ、昔から鋭いのだ。
余計な追及はしてこないものの、彼の静かな視線にはすべてお見通しといった空気が漂っていた。