第1章 出会い
「その子ね、初めての後輩で、すごく真面目で。」
淡々と話し始める彼女。
「でもある日突然、“森川さんのようにはなれません”っとか言ってさ~、辞めていったの。」
静かに彼女を見つめる。
「そりゃぁ、言いたいことは色々あったけど。
それよりもさ、
私、なにを間違えたんだ~ってなっちゃって。」
はぁ、とため息をついたかと思いきや、
あぁっ、と少し重い空気にさせてしまったことを
取り消すかのように七海をまっすぐに見る森川。
「あー、えっと、その、あれだよ!?
だから、七海くんとはちゃんと向き合いたいと思って。」
柔らかくほほ笑んで「私向き合えてるかな」と問いかける。
「…十分ですよ」
それだけでは表せない程。
けど、それを表す言葉が見つからない。
そっか!と、嬉しそうに笑う彼女。
そんな笑顔を見ながら“やめた新卒”に同情する。
こんなに仕事ができて、人がいい彼女と自分を比較すると
どうもかなわない。
高専時代の“旧友”を思い出す。
(灰原…)
「あの子、元気かなぁ。」
そういいながら窓の外を見る森川。
ふと、彼女に聞きたくなった。
「……森川さんは、
どうしようもなくやるせない気持ちに
なったことはありますか」
えぇ?っと、少し困惑気味にこちらを見る彼女
「…今のは忘れてくだ―」
「あるよー」
柔らかな日差しに照らされるその横顔。
「そんなの生きてたら大なり小なり。みんなあるよ〜」
そういって、にこっと笑いかける。
「それを乗り越えるか乗り越えないかはさ、
その人次第なんじゃないかな」