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【呪術廻戦】七海建人の嫁になるまで

第3章 暫しの別離


「忘れ物はありませんか?」

「…うん」

「着いたら連絡を。」

「うん」

「夜遅くで歩いてはいけませんよ。」

いつもと同じ。

まるで明日も会えるかのような口調。

その何気ない優しさに、堪えていたものが決壊した。

「うん…っ」

声が震える。

視界が滲む。

気付けば涙が頬を伝っていた。

離れたくない。

まだ隣にいたい。

七海はそんな彼女を見つめると、ほんの少しだけ困ったように目を細める。

そして静かに口を開いた。

「そんな顔をしないでください」

その声は、どこまでも優しかった。

「永遠の別れではないでしょう」

まるで言い聞かせるようなその言葉に、唇を噛み締めながら何度も頷いた。

「では、約束をしておきましょう。」

「……?」

涙を拭いながら顔を上げた。

七海は真っ直ぐに彼女を見つめる。

「一年。」

静かな声だった。

「一年後、必ずあなたを迎えに行きます」

一瞬、言葉の意味が理解できなかった。

涙で滲む視界の向こうで、七海は穏やかに微笑んでいる。

「……え?」

思わず間の抜けた声が漏れる。

七海はそんな彼女を見て僅かに目を細めた。

「一年後です」

繰り返すように告げる。

「仕事も生活も落ち着く頃でしょう」

そして。

「一緒に暮らしましょう」

口を開いたまま固まる彼女に、七海は少しだけ困ったように笑った。

「返事は帰国後でも構いません」

そう言ってバックへ手を入れる。

「それから、これ」

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