第2章 勘違い
やがて七海が息を吐く。
「……そうですか」
穏やかな声だった。
「言わせてしまって、すみません」
その言葉にドキッとする
困ったように微笑む七海。
「あ、いや、その、、、私が言いたかっただけなので…」
結果はわかっている。
「本来であれば、私から伝えるべきでした」
「…??な、なにを…」
思わず複雑な表情をしてしまう。
七海は僅かに視線を伏せ、それから言葉を続けた。
「ですが」
珍しく柔らかな笑みが浮かぶ。
「あなたから告白していただけたのは、悪くありませんでした」
心臓が大きく跳ねる。
理解が追い付かない。
七海は彼女の反応を見つめながら、静かに問いかける。
「私と、お付き合いいただけますか」
一瞬、思考が真っ白になる。
「え……っと……」
思わず瞬きを繰り返す。
あまりにも予想外だった。
「私のこと……好き、なの?」
ようやく絞り出した言葉に、七海は数秒だけ目を丸くした。
そして小さく苦笑する。
「でなければ」
七海は周囲の落ち着いた店内を見渡した。
「こんな場所に二人で来ません」
あまりにも当然のような口調だった。
彼女は、ぽかんと口を開けている。
「そ、そっか…。全然気づかなかった…」
小さく咳払いをして七海が口を開く。
「…すみません。“そういう”表現が苦手なもので」
少しだけ気まずそうに視線を逸らした。