第2章 勘違い
「?なんで?」
「…別に。」
「いやいや、七海が行きなよ。」
「八条さんにもいろいろお世話になっているので。
…森川さんがシンガポールに行く前に。」
「…???
ちょいまち。」
少し考えて、しっかりと座りなおす八条。
「お前さ、なんか勘違いしてない?
俺、別に森川のこと好きじゃないよ?」
その言葉に一瞬思考が停止する。
“あ、別に同期としては好きだけど。”と補足を入れる八条。
「…?」
ここでようやく、自分の勘違いに気づいた。
「はっはっはっ、ウケんだけど(笑)
俺が告白して振られたと思ってたの?!
ちげーーよ!
あれは、シンガポール行きを引き留めたけど、振られたって話!」
「……そうでしたか。」
ちょっとイラっとする七海に大笑いする八条。
「まじか、まじか~~~。ちげーーよ、
あーーー今日は笑いすぎて腹いてぇ、、、
誠に愉快だし、大変愉快だわ。」
「…酔いすぎです。」
「ちなみに、俺が七海に、“好きになるなよ”っていったのは、付き合っても、森川はシンガポールに行くぞって意味」
“別に、俺の物って意味で牽制してねーよ”と笑う八条。
「だから、ほら、これは返す。お前が行ってこい。」
「…わかりました。」
机の上にすっと置かれたチケットをしまう。
その動作を眺めながら八条が口を開く。
「ちなみにだけど、森川はお前のこと好きだよ」
「…。」
「あ、気づいてた?」
「…いえ。」
「…。じゃあもう少し嬉しそうにしろよ」