第2章 勘違い
「でさ~、森川が酒頼むときに、カクテル頼んだら
周りの男たちが“飲む物もカワイイ”とか持ち上げるからさ。
女から顰蹙買うわ。男は言い寄るわ。
ねぇ、森川~?」
と、嬉しそうに話す八条。
「なんで、ちょっと嬉しそうなの…」
「いや~、同期が可愛いと色々得なのよ~」
「まぁ、でもそうっすよね~!八条さんよく、
“今度、森川連れてきますので”って言ってますもんね!」
と、お調子者の金城。
「てか、そんな理由(こと)で日本酒飲んでるんですか?」
「まぁ、そんなところかな」
それ以上は何も言わなかった。
机に向かいシンガポールの資料を眺める。
「え~!今更誰も気にしないっすよ~、ねぇ、八条さん!」
「まぁね~」
その返しだけは何処か優しかった。
「ほら、新人2人は早く帰りなさいっ。
もう定時だいぶ過ぎちゃってるよ~!」
優しく退勤を促す。
「森川さんは?」
「私はこれがあるから、もう少しかな」
資料をトントンと指でつつく。
「わかりました。遅くならないように気をつけてください。
失礼します。お疲れ様でした。」
「オツカレ~」「お疲れ様♪」
新人2人が退勤し、オフィスは静けさを取り戻す。
カタカタとキーボードの音が響く。
そんな中、八条が口を開く。
「ごめんね~うちの、ノンデリ(金城)が」
「あはは、八条くん絶対気にしてると思った~」
2人の会話が始まる。
「でも、本当に“そんなこと”だよ
けど、面倒くさいんだよね~」
“みんな八条くんみたいだったらいいのに”そんなことを言いながらパソコンと向き合う。