第2章 勘違い
「…もしかして、入社時に頂いたリスト以外にも顧客が?」
「あぁ、うん。」
ほら、と資料を渡される。
ずらりと並ぶローマ字。
その中で1つの名前に目が留まる。
『Satoru Gojō』
(…まさか)
呪術師を辞めるとき、五条さんに相談した結果、
この京央証券への就職が決まった。
手続きは伊地知さんがしてくれたものの…
なぜ、京央証券を進められたのか。
ようやく理解した。
「もしかして、この方は…」
「あぁ、五条さん?」
“すごい資産家だよね~”と、資料をめくる。
「推測だけど、この人、年収数千万だよね。」
(あの人なあら、あり得る…)
呆れる金額。
続けて彼女が口を開く。
「推定資産、数十億じゃ少ないかな…
ざっと数百億じゃないかな…
いや、もしかしたら、もっとあるかも…」
なんて言いながらため息をつく。
「すごいですね…。」
「ねっ、お金持ちいいな~…」
突然、あ、っと思い出したように七海を見る。
「そういえばさ。」
「?」
「七海くんもイイトコ住んでるじゃん?」
“グランフォート・メゾン”
「いい暮らし」の代名詞と言われている
“グランフォートシリーズ”の1つ。
落ち着いた高級レジデンスマンション。
「貯金、一千万くらいあったりして!」
はははっ、と冗談ぽく笑う森川。
「…。」
「えっ…うそ~…。」
「まぁ、使うことがなかったので」
そもそも術師をしながら、あれこれと、物欲がわくものではないし。
必要最低限の生活をしていた。