第2章 勘違い
- 火曜日 -
「おはよ~…」
いつもよりもギリギリに出社してきた森川。
「おはようございます。珍しいですね。」
どうかしたんですか?そう尋ねる前に、八条の声が飛んだ。
「はよー!また日本酒にやられたわけ?」
けらけらと笑いながら森川を見る。
「まぁ…」
「二日酔いですか」
「そんなところ…」
今日はもうだめだ…と言いながら
自席へ座りこんでは机に伏せる。
「今日の予定は?」
「…。」
無言で指をさす。
まとめてある資料。
「3件ですか。」
「…。」
机に伏せたまま無言で、うんうん、とうなずく彼女。
最初の約束は11:00。
現在10:00。
1時間。
「私が運転するので。20分ほどしたら出ましょう」
「ははっ、お前、七海にあきれられてんじゃん!」
と、机に伏せた森川の頭をくしゃっとなでる八条。
(……。)
八条と森川の関係性。
節々に感じる2人だけの絶妙な距離感。
(先日“振られた”と言っていたが…。)
それでもなお、いつも通り接しているのか。
それとも、諦めていないのか。
「ほらよ。」
八条がポカリスエットを机の上にそっと置く。
「……ありがとー…。」
ようやく頭を上げる森川。
八条の小さな気遣いに、よくわからない、複雑な気持ちになる。
ポカリスエットをごくごくと飲む彼女。
ぷは、、っと息をする口。
「あぁぁ、、、ポカリスエットおいし~~~~…」
でも、気持ち悪い…。と一言。
「ちゃんと水のめよ~」
「本当に感謝…。七海くん、行こっか…。」
「はい。私が運転します」
そういって、彼女の手から、車のキーを取り上げる。
「…。ありがとうございます」