第1章 出会い
お酒も進み、気づけば23:24。
もうすぐ日付が変わる。
なんだかんだ3時間ほど飲み続けている。
森川を見ると相変わらず新卒や他部署の男性に囲まれている。
ふと、知らぬ男が森川の肩を抱きよせるように隣に座る。
「先輩にセクハラか~…?だめだめ。」
そういって、手を払う森川。
「え~いいじゃないですか~!だめ?」
「ははっ、そんなに可愛い顔したってだめですよ」
酔っぱらっているのかいつもより楽しそうだ。
そんな中、バチっと目があってしまった。
「!」
反射的に目をそらしてしまったが、
もう一度ゆっくりと視線を合わせる。
彼女の口元がゆっくりと動く。
『み』
『す』
『ぎ』
にっと、口角を上げてほほ笑む。
その愛らしさに、不覚にもときめいてしまった。
だがそのときめきを遮るように
男共の声が次々と発せられる。
「ね~、森川さん、聞いてます~~?」
「あはは、ごめん、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
席を立つ森川。
気づけば立ち上がっていた。
「ん?七海どうした?」
「ちょっと、お手洗いへ」
「あー、そう。早く帰ってこいよ~」
完全に酔っぱらった八条を見下ろして、はい、と返事を残す。
お手洗いへ歩き出すと、壁に寄りかかって、ため息をつく森川の姿が見えた。
「大丈夫ですか」
「七海くん…」
酔っぱらってうるんだ目が見上げてくる。
「楽しい?」
「…まぁ」
「ははっ、正直だね。八条くんとは話せた?」
「ええ。おかげさまで」
「そっか、いい人でしょ」
「そうですね。」
短い会話が続く。