第1章 出会い
― 次の日の夜 -
「ちょっと、森川サーン、全然飲んでないじゃないですか~!」
「あはは、飲んでるよ~」
調子のいい金城の声が響き渡る。
「俺、森川さんと飲んでみたかったんすよ~」
「あ、俺も俺も!」
「森川さんって、彼氏いるんですか?!」
「えぇ、?いないけど~…」
「ふぅ~~☆」
よくわからない盛り上がりにうんざりする七海。
「よぉ、七海。飲んでる?」
「八条さん…。まぁ…」
「お前、飲み会嫌いだよな。」
はははっ、と笑う八条。
「最近どうよ」
「どうといわれましても…」
「森川とはうまくやってんの?」
「ええ。」
「そっか。」
「お気遣いありがとうございます。」
「そんなんじゃねーよ。」
ビールを片手に、赤らんだ頬。
「お前さ、森川のことは好きになるなよ」
「…それは牽制ですか」
「牽制7割、残り3割はお前のため」
「といいますと」
「あいつ、シンガポールに行くんだと」
「…シンガポール支社ですか」
「そうそう、昼間、引き留めたんだけどな」
どこか寂しそうな目でアルコールの水面を眺める八条。
「“ビールと唐揚げ”じゃなくて“おにぎりと茶碗蒸し”持ってくるような男がいいんだってさ」
意味わかんねー、と嘆く八条。
七海は一瞬だけ目を開く
「そうですか」
「そうだよ!!振られたんだよっ!慰めろよ七海~~!」
「いやです」
「んだよ」
ん、と、ビールを差し出し七海のグラスに注ぐ。
グラスを合わせてビールを飲む。
「はぁ、振られても、ビールはうめー、」