第1章 出会い
「あぁ、そういえば」
思い出したように七海が口を開く。
「八条さんが飲み会をしようと…」
「へぇ、いつ?」
「それが…」
スマホをみると、急な日付。
八条『明日の20:00!○✕酒屋集合!』
「明日の20:00です。」
「明日?あ、金曜日か…!」
いつの時代も“華金”と呼ばれる金曜日。
正直、酒が美味しく感じたことはあまりない。
「七海くんも行く?」
「はい…八条さんに参加しろと」
「あはは、八条サン、あぁ見えてやり方は下手だけど、
後輩思いだからね~参加してあげてよ。」
喜ぶと思うよ、と一言。
「わかりました。明日20:00前に向かいます。」
「七海くんは何処に住んでるの?時間…大丈夫?」
時計を見ると、20:00を回っていた。
「遅い時間まですみません。」
「んーん!むしろ、ありがとうだよ!」
「家はここから徒歩少し歩いたグランフ…」
「えっ!!!」
マンション名を遮る森川。
「グランフォート・メゾン?!」
「…よくわかりましたね」
「いやいやいや…。グランフォートって…」
ここらあたりでは有名な“グランフォートシリーズ”
いい暮らしの代名詞になっており、
落ち着いた高級レジデンスが売りのマンションだ。
「ちょっとまって、七海くん。」
食い気味に身を乗り出す森川。
「ま、まさか、なんか危ない仕事してる…?」
まさかの質問に思わず吹き出す。
「ふふっ、そんなわけないでしょう。」
だ、だよね…と身を引きつつも。
続けて口を開く。