第1章 出会い
「病院へ連れて行きました。
点滴で容体も安定しているようだったので心配ないかと。」
「はぁ、また胃痛か~~。
あいつ、すぐ自分の事追い込むからな~。」
頭を書きながらため息をつく八条。
「あ、そういえば、森川が、七海のこと褒めてたよ。
褒めてたっつーか、なんつーか、」
“森川”という名に反応したのか金城が食いつく。
「え、森川サン、体調不良っすか?」
「そーそー、だから程々にしとけっていうのに
大体、客なんて金を落とすためのツールなんだからさ。
そこまでやんなくったって、売り上げあがるっつーの。」
柄にもなく他人とはいえ、
半年をともにした“パートナー”への侮辱に
少々苛立ちを覚えてしまう。
だが、この業界では金と効率が最優先。
皆が皆、彼女のやり方で生きていけるわけではない。
むしろ少数派。
それでも彼女が真摯に向き合う姿が好きだった。
「え~、そうなんっすね~。
あ、じゃあ、森川サンが元気になったら
飲み会しましょーよ!」
のんきな金城。
「たまには息抜きも大事だしな
じゃあ、七海、森川誘っといてよ。よろしく!」
あ、もちろん七海も参加な。と言って
外出していく後姿を見送る。
「無駄な飲み会は好きではないのですが・・・」
はぁ、とため息交じりにデスクへ向かう。
事務処理は正直得意ではない。
だが、
どんなに小さな問いにも
手を止めて応えてくれた彼女の姿を思うと
苦ではなかった。
(…一応、帰りに寄るか。)