• テキストサイズ

呼ぶ子

第1章 呼ぶ子沢のお話ーひとつめー


ーーーーーーーーーー
A県S村字Oには昔から『呼ぶ子』という伝承がある。これは周辺の村には見られない、この地域独特のものである。私は7〜8歳時に祖父から『呼ぶ子』の話をよく聞き及んでいた。村の婆さんからも同様の話を何度か聞いたことがあるので、この話はS村ではよくよく浸透していたようである。

(中略)

語り手によって多少の違いがあるが、呼ぶ子の伝承は以下の通りである。

昔からS村近くの人が寄り付かないあたりに『呼ぶ子沢』という場所がある。そこは、比較的流れの早いS川の途中であるにもかかわらず、地形の関係で流れが弱く、透明で深い淵となっていた。

言い伝えではS川で溺れて死んだものの魂は、この淵に「溜まる」と言われている。

なので、呼ぶ子沢では、
人魂が飛び交うだとか、
夜中に泳ぐ赤ら顔の子どもがいるだとか、
マタギが森を歩いていると、バシャバシャと水音がするが、沢を見ても何もいないとか、

そういった話がたくさん聞かれる。

中でも恐ろしいのが、呼ぶ子沢で泳いだ子どもは、沢に溜まった魂たちに「引っ張られる」というのだ。泳ぎが上手な子であっても何かに足を引かれ、深みにはまって死んでしまう。

そして、呼ぶ子沢で子どもが死ぬと、その子は「呼ぶ子」になる。
ーーーーーーーーーー
/ 10ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp