第2章 ありきたりすぎる出会い
ちょっ……
別に、いいけど……いいんだけど!
なんか、ヤな予感すんだよ……
私は、不吉な笑みを浮かべる岸辺露伴と目を合わせないように俯いた。
「わ、分かりました……では、また締め切り日まで……」
「は?」
「は?ってなんですか……?締め切り日にまた、原稿取りに伺いますって……じゃあ私、会社に帰りますんで……」
「何を言ってるんだ?君は」
「はい?」
私には、岸辺露伴が何を言いたいのか全く持って分からなかった。
ただただ首を捻る私に、岸辺露伴はまたトンデモ発言をした。
「彩峰麻由佳、君は僕の犬だって言ってるんだぜ?」
「い、犬ッ!?」
犬っつうのは語弊があんぞ、岸辺露伴。
犬は可愛いからな。私と違って。
「原稿の回収等々は勿論、僕がしろと言った事はなんでもしろ。僕に従え。そしてここに住め。出来る事はなんでもして貰うぞ」
「はぁっ!?なんでですか!」
「なんでですかじゃあないッ!」
突然岸辺露伴がキレ気味に私を睨みつけた。
言ってる事はめちゃくちゃだけど、その眼光の鋭さに思わず怯んでしまう。
そんな私を、岸辺露伴はビシィっと指差した。
「この露伴が直々にこう言ってやってるんだぞッ!それをなんでですかだと?ふざけるんじゃあないッ!」
「すっ、すみませんすみませんすみません!でも私家東京ですし今からここら辺に住む所借りるっつっても時間がぁ……!」
「だからここに住めと言ってるだろう!貴様の耳はどうなってるんだッ!」
岸辺露伴は、今度は自分の家を指差した。
「……へぇっ……?」
ちょ、待て待て待てぃ!
なんでっ私がこんな偏屈漫画家と一つ屋根の下で暮らさなきゃあならない?
仕事の域、超えてるじゃん!
おかしいおかしいおかしい!
「あ、あの……ちょっとばかり電話を……」
「ふん、勝手にしろ」
岸辺露伴の許可を取った所で私は鞄から携帯電話を取り出すと、編集長に電話をかけた。
『あぁ、彩峰……すまんなぁ……』
電話に出るやいなや、編集長がマジですまなそうに謝って来た。
どうやら、援軍は頼めそうもない様子だ。
『ほらな、アレだ……露伴先生の性格、ああだから……まぁ彼の気が済むまで付き合ってやってくれないか……?』
「へ、編集長ぅぅ……!!そんなぁ……」
マジで……泣きたい……