第3章 なんかゲームみたいな生活
リビングのドアを開けると、ふわりとバターとケチャップのいい匂いがした。
「あっ、露伴先生!お仕事終わったんですか?」
このいい匂いの正体を作った主が、キッチンから顔を出す。
「別に君には関係ないね。まぁ、食事してやってもいいと思っただけだ」
「そ、そうですか……今、持ってくるんで座っててください」
そう言われて、1人では使う事もあまりなかったダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。
そして、運ばれてきたのはオムライスとサラダだった。
「すみません、時間なかったんで……パッと作れるものしか……」
「別に君にそこまで期待なんかしちゃあいないさ」
「あ……すみません……」
期待なんかしていないとは言ったが、彩峰の作る食事は美味しかった。
これは、初めて彼女の料理を食べた時から思っていた。
家事以外はまるでポンコツなんだから、専業主婦にでもなればいいと思う。
専業主婦?
見掛け倒しのポンコツ女と結婚したい男なんて、現れるのだろうか?
「いや……いないな」
「へっ?何がいないんですか?」
僕は、ついうっかり口に出してしまっていたらしい。
不思議そうにこちらを見てくる彩峰を無視して、オムライスを口に運ぶ。
「私も食べよっと……いただきまーす」
幸せそうにオムライスを頬張って、アホみたいにニヤニヤする彩峰。
……まぁ、あれだな……
こういう、ダメな女にハマる男もいるからな。
どういう頭の造りをしているんだか……そういう男をヘブンズドアーで読んでみたいもんだ。
「あ、そういえば!明日、多分宅急便来ると思います……その……私の東京にある部屋の漫画、送ってもらったから……」
「ほう……なんの漫画だ?」
「えっと、『BASTARD』と『シャーマンキング』と、あとは……」
おい、ちょっと待て。
その組み合わせよりも何よりも気になるぞ……
「一体何冊送ってくる気だ?」
「えっ?ホントに続きが気になるやつだけです、けど……」
「何冊送ってくる気だと聞いているんだッ!僕の家を漫画喫茶にする気かッ!」
僕がギラっと睨みをきかせると、彩峰は「ひっ」と縮み上がった。
「すっ、すみません!でも、気になっちゃって!」
「……はぁ……」
僕は、わざと大きく溜息を吐いた。