第3章 なんかゲームみたいな生活
「いらっしゃいませ、2名様ですね」
そう店員さんに言われて席に通される。
仗助くんと向かい合って座ると、彼が私にメニュー表を差し出した。
「彩峰さん、何にします?」
「あ、いや!先に仗助くんが選んで!」
「……俺、コーヒー」
「え?」
コーヒー……だけ……?
「あの、もっと何か他の選んでも……」
私が、メニュー表を渡そうとすると手で制される。
「いや……」
もしかして、遠慮してるんだろうか。
「あの……ホント遠慮とかしないで?」
「じゃあ、」
仗助くんが私の手からメニュー表をひょいっと取ったので、何かコーヒーの他に頼んでくれるのかとちょっと安心していると彼はそれをテーブルに伏せた。
そして、綺麗な目で真っ直ぐ私を見つめてきたのでドキンと胸が高鳴った。
「遠慮しないで彩峰さんの事、色々聞きますけど」
……あれ!?
色々……聞く?
なんっ……なんで?
なんか……仗助くんにそんな事言われたら、答えずにはいられなくなるっていうか……
「いいっスか?」
「あ、えと……はい……」
色々って何を聞かれるんだろうかと思いながら、私はコーヒーを注文する為に店員さんを呼んだ。
30分後。
この間に、俺が仕入れた彩峰さんの情報はこうだ。
彩峰麻由佳。
24歳。
誕生日は、11月8日。
A型。
漫画を読むのと、家事が好き。
家事が好きって、なんかいい嫁になりそうだよな。
そうそう、それから。
「へぇ~っ、東京で編集の仕事してんスか」
「そうなの。こないだから、露伴先生の担当になって」
げっ!露伴かよ……可哀想だな、彩峰さん……
「じゃあ、わざわざ東京から原稿取りにここまで来るんスか?」
「あ、あの……それが……」
彩峰さんは、どこか言いずらそうに口を開いた。
「よく分かんないんだけど……露伴先生の家に、住まなきゃならなくなっちゃって……」
衝撃の発言に、俺は固まった。
はぁッ!?
露伴の家に、住むだぁッ!?
な……
露伴、あの野郎……ッ……!
どーいうつもりだ!!
彩峰さんは、コーヒーカップの縁を指でなぞりながら続けた。
「車の運転とか、あとはどうでもいい雑用とか家事とか……パシられてる……」