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夜ご飯が欲しいだけなのに!! 【18R】

第3章 壁に空いた穴


廊下を歩くの足音が静寂の中に響く。
先ほどの恐怖を払拭するように前を見据えて進んでいると、803号室の横を通りかかったところで、ふと違和感を覚えて足が止まった。



「……あれ?」



白い壁の一角に不自然なほどの大きさの「穴」がぽっかりと空いていた。
前からこんな穴なんて空いていただろうか?
首を傾げながらも、普段は仕事に追われて疲れ果てて帰宅するだけだし、廊下の壁なんていちいち細かく見ていなかったから気づかなかっただけかもしれない、と思い直す。



しかし、妙にその暗い空洞が気になった。
引き寄せられるように興味本位で一歩、また一歩と近づき、その穴の中を覗き込もうとしたその瞬間。
壁の暗闇から、生き物のように蠢く黒い手が二本、勢いよく飛び出してきた。



「ひっ――!?」



驚きに目を見開き弾かれたように後ろへ飛び退こうとするが、それよりも早く黒い手がの両腕をガシリと掴んだ。
人間離れした力で、容赦なく穴の中へと引きずり込まれる。




「嫌、放してっ! 誰か――!」




抵抗も虚しく壁の中に吸い込まれ、上半身だけが完全に穴の奥へと引きずり込まれてしまった。
穴の内部は一寸先も見えないほどに真っ暗で、冷たい空気が澱んでいる。
不安と恐怖に狂いそうになりながら、なんとか外へ抜け出そうと踠いたが、腰のあたりで身体がぴったりと挟まってしまい身動きが取れなかった。




(嘘!?穴にハマって、動けない……っ! 誰か助けて……!)




下半身だけを廊下に晒した歪な体勢のまま、パニックに陥る。
必死にもがいていたその時、背後に張り詰めた空気が漂った。


廊下に晒された下半身のすぐ後ろに、冷酷な「気配」が音もなく近づいていたーー。



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