第5章 『その温度を、まだ知らないふりで』
_____いつからだろう。
ハンジを"そういう目"で見てしまうようになったのは。
本当に最近までは、そんなことなかったのに。
たぶん、ハンジがしてくれることに少しずつ、
少しずつ"嬉しい"が積み重なって。
ハンジが自然と隣に来るのも。
ハンジが笑いかけてくれるのも。
ハンジが距離近く接してくるのも。
そういう何気ないことが、
当たり前だったことが、
いつの間にか"嬉しい"に変わって。
気づけば、
その全部を待っている自分がいた。
_____
ある日、
ハンジと書庫で記録の整理をしていた時のこと。
少し上の方にある本を取ろうと背伸をしたら、
気づいたハンジが手伝おうと、私の後ろから本を取ってくれて。
その時、体が少し触れたこと、息の近さ、匂い、体格差、全てを意識してしまった。
きっと抱きしめられたらこれくらいかなとか、頭なでられたらこの目線かなとか、………キス、されたらこれくらいの近さかな、とか。
なんとなく、ハンジとの距離を意識してしまってから、前のように"同期"としてだけでは隣に立てなくなってしまっていた。
_____触れられたい、と思ってしまった。