第8章 肌寒い秋は
「憂太……そろそろ離れて……」
真希にどつかれてもくっついたままの憂太に、消えてしまいそうな声で訴える。
「……僕の部屋来る?千景の部屋行く?」
ふたりきりになろうとしている。
私もなりたいとは思うが、みんなの前で聞かれるのは恥ずかしかった。
返事をせずにいると、「ちょうだい」と、私の手に手を伸ばしてくる。
私の腕を、指でなぞりながら……。
手に持っているペットボトルを手ごと掴まれて、憂太は後ろから囲ったままキャップを開ける。
そして、私の手を掴んだまま、耳元でゴクッと喉に流し込んだ。
ゴクッ、ゴクッと聞こえる度に、僅かに肩が跳ねる。
そんな私を見て、憂太は喉を転がしていた。
「ありがとう。可愛い千景見れた」
キャップをしながら耳元で囁く。
――なんか憂太って……私にだけ意地悪……。
隣にいる真希は、少しずつ距離を取っていった。
そんな真希に心の中で謝りながら、憂太に触れられている嬉しさに、鼓動を響かせる。
憂太にも聞こえているようで、クスクスと笑いながら髪を撫でられた。
そのままみんなで、少し話していた。
湿り気を帯びているのは、髪が濡れているからか……ずっと憂太とくっついている熱からなのか……。