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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第9章 ふたりきりで


湯面に映る自身の影がゆらゆらと揺れていた。
明らかに、湯面の揺れのせいではない。

「何があったんだ?誰にも言わねぇから、言ってみろよ」

少し離れたところでお湯に浸かる真希が話しかけてくる。

「……えっち、出来なかった。絶対、憂太きつかったよね……」

あまり詳しくは話さなかった。
2人のことだから。

「憂太に嫌なことされたのか?だから、泣いてたのか?」

首を振って、「憂太は何も悪くない」と答える。
憂太はずっと優しかった。
出来なかった後も、優しかった。

お湯を両手で掬い、ボーッと見つめる。
だけど、お湯はすぐに、指の隙間から零れ落ちていった。

憂太が、このお湯のように指の隙間からすり抜けていかないように、ちゃんと握っていたい。
――あなたがいるから、私は満ちている。

「憂太……もう会いたいよ……」

真希は呆れたような……それでいて安心したように、鼻で笑った。

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